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ご挨拶_____複合ラグーン技術情報〔1_____連絡先





複合ラグーン技術ノ−ト〔1〕
"
脱窒素処理技術の基礎と概要"


基礎編


1. 活性汚泥法の起源


活性汚泥法〔浮遊微生物〕は.20世紀の初頭英国で発明されて以来世界中で利用されています。活性汚泥法の技術的発展の過程をみると幾つかの重要な技術的マイルストーンが有る。

1. 活性汚泥が微生物であるとする生物説の確立
2.
連続式汚水処理装置の工学的確立

・生物反応槽容量の計算法
・必要酸素量の計算方法
・汚泥分離槽の水面積負荷の計算法
・汚泥返送量の計算法

3. 高速高負荷処理技術の確立等です。

活性汚泥の主体が微生物である事の理解と、標準型活性汚泥法の確立は、人類の歴史上極めて重要な発見・発明です。



2. 連続式活性汚泥法の構造と特性


連続式活性汚泥法は、反応槽〔A〕と沈澱槽〔B〕を分け、それぞれの機能に適した曝気槽と最終沈澱槽の設計をする事によって、排水の特性に応じた設計が可能になった事、返送汚泥の調整〔C〕によって曝気槽内の微生物濃度・汚水滞留時間を調整可能な処理法である。

連続式活性汚泥処理システム模式図



連続式活性汚泥法は、それまで使われていた潅漑法・腐敗法・撒水ろ床法に較べて効率的に排水を処理し処理水質も良好で大変優れた汚水処理方法です。又.標 準型活性汚泥法の外に高負荷法・長時間法・接触曝気法・酸化溝法・曝気ラグーン法等様々な変法が開発されて使用されている。



3. 複合ラグーン施設の構造と特徴


浮遊汚泥処理方式には、連続式活性汚泥法の外に非連続式活性汚泥法がある。

複合ラグーン槽断面・模式図



非連続式活性汚泥法〔以下・複合ラグーン法〕は.原理的に単一槽〔A〕だけで廃水処理を行う活性汚泥法で.最終沈殿槽、返送汚泥装置が不要で、施設の構造が単純で建設費用が低廉で、脱窒素処理が可能で連続式処理法には無い優れた高度処理機能がある。

  1. 複合ラグーン法の機能的特徴は以下の通りです。

  2. 脱窒素・脱燐々高度処理機能を有する事.

  3. 最終沈殿槽、返送汚泥装置が不要で施設が単純で建設費の少ない事.

  4. 脱窒素処理に要するエネルギーの少なく高度処理費が低廉である事

  5. 余剰汚泥の発生が少ない事.

  6. 流入負荷の変動に対して安定した機能を維持する事.

  7. 施設の自動制御が可能で熟練した管理者を必要としない事.

  8. 希釈水・薬品等が不要な事.

現在わが国では.琵琶湖・諏訪湖・霞が浦等.湖沼・湾内海等の閉鎖系水系の富栄養化が大きな社会問題になっています。複合ラグーン方式の優れた脱窒素・脱燐機能は.今後.社会的に重要な技術であると言えます。



4. 微生物の機能〔1〕微生物の一般的特性


微生物には汚水処理に適した数多くの特性がある。微生物機能が物理的化学的機能とどのような点が異なっているのか良く知る事は. 廃水処理技術を理解するうえで大変重要な事です。 

  1. 微生物は酵素反応〔蛋白質〕によって常温・常圧で複雑な合成を行う.従って.微生物反応装置は物理化学的装置に較べて単純な装置で複雑な反応を効率良く行う事ができる。

  2. 微生物は生物の中では増殖速度が速く物質変換を速やかに行う。微生物の重量当たり酸素消費量は人間の百万倍以上に達する。

  3. 微生物は汚水の中に含まれている物質で人間が分析出来ない物質も処理する。

  4. 微生物は廃水処理に適した生物相を自律的に形成する。〔自律的機能形成〕

  5. 微生物反応は安全で二次公害の危険が無い事。



5. 微生物の機能〔2〕脱窒素機能


1970年代になって好気的条件と嫌気的条件を組み合わせると微生物によって生物的に水中の富栄養化物質〔窒素・燐〕が良く除去出来る事が明らかになっ た。今日迄活性汚泥処理の原理は全て曝気によって好気〔酸化処理〕処理法でしたが、複合ラグーン方式は、嫌気的条件〔還元〕と好気的条件〔酸化〕を適正に 組み合わせる事によって、複雑な微生物系の階層性〔hierarchy.〕と適応能力を工学的に活用出来るようになり生物的脱燐機能を向上させ、同時に生物的脱窒素を正確に制御出来ようになった。複合ラグーン方式は、微生物特性を最大限に利用した廃水処理技術です。



6. 循環水路の機能と欠点.197476


循環水路形式の最初の施設は1974年栃木県都賀農場・畜産〔養豚〕廃水処理施設として建設しました。この施設の稼動状況を数年間調査した結果以下の事項が明らかになった。〔本文 349以下〕

  1. BOD.COD除去機能は優れている事

  2. 生物的脱窒素機能は最高99%に達した事〔炭素源添加は不要である〕

  3. 生物的脱燐機能は70%が期待出来る事

  4. BOD10,000mg/l程度の高濃度廃水の無希釈処理が可能である事

  5. 余剰汚泥の発生率が標準型活性汚泥法と比較して2/1以下である事

  6. 季節変動が少なく冬期〔水温5度〕の脱窒素機能が確認された事

上記の施設稼動調査の結果.循環水路施設〔OD施設〕は構造が簡単で.施設の建設費用も少なく.脱窒素機能等優れた機能があることが証明されましたが.その反面幾つかの技術的課題があることが認られた。

  1. 機械式表面曝気方式は.反応槽を深くする事が難しく施設建設に要する敷地面積が大きい

  2. 循環水路方式では.完全混和に要する動力量が大きい事

  3. 過剰な曝気・酸素過剰は脱窒素処理を阻害する事

この結果.非連続に適した水利モデル・槽形状曝気方式・曝気動力量の制御方式の開発が必要であるとの結論に達した。



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